月夜の浜辺。

2001年10月2日
夕べは切ないくらいキレイな月夜だった。
そして切ないくらいダーリンに逢いたかった。
あなたの横で。あなたの腕の中で。
あなたの膝の上に頭を乗せて。

そんな日に限ってメールが上手く届かない。
どうして?どうしたの?何かあったの?

イライラは止まらなくて、とうとうしてはい
けないことをしてしまった。

了承無しのあなたへの電話。

ワンコール繋がれば安心出来る様な気がして
通話ボタンを押す。

プ・プ・プ・・・プルルルルル

これで切ろう。そう思って耳から離したその
瞬間。
「もしもし?」という声。

ビックリしたのと『もしかして奥さん?』と
いう疑いの気持ちでしばらく声が出なかった。

「もしもし?」・・間違い無くダ−の声だ。
「もしもし?」
「何でお前、電話してきてんの?」
「ダーこそなんで電話に出れるの?」
「お前があんまりメールが来ないって騒ぐか
 ら、電話掛けようと思って車に乗ったとこ」
「あぁ・・そうなんだ。ちょうど良かったん
 だ。何か嬉しい。同じ気持ちでいたんだね」
「うん、通じ合ってる、って感じやね」

そして二人同じ月を見る。
ふと私はある詩を思い出した。

   月夜の浜辺

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に 落ちてゐた。

 それを拾って、役立てようと
 僕は思ったわけでもないが
 なぜだかそれを捨てるに忍びず
 僕はそれを、袂(たもと)に入れた。

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちてゐた。

 それを拾って、役立てようと
 僕は思ったわけでもないが
   月に向かってそれは抛(はふ)れず
   浪に向かってそれは抛れず
 僕はそれを、袂に入れた。

 月夜の晩に 拾ったボタンは
 指先に沁み、心に沁みた。
 月夜の晩に、拾ったボタンは
 どうしてそれが、捨てられようか?

中原中也のこの詩はもう20年近く前に習った
ものなのに、何だかひどく印象的で今でも忘
れられずにいる。
この詩に出て来る『ボタン』。
私にとって何に当たるかな。
今はダーリンのコトバかな。
何気ない一言でも忘れたく無くて、でも心に
沁みて・・・
でもいつかはダーにとっての『ボタン』は私
であって欲しいと思う月夜でした。

切ない気持ちも、してはいけない電話をした
のも全てあの月のせいだったんだよね?

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